【写真】
限界集落/棚田
<小野秀秋・写真集「自賛他賛」より>
■山村環境社会学序説・その11
しかし、他方では「分析」が必要である。調査で得られたデータを自分の頭で組み替え分析表をつくることによって、混沌とした現実に一定の秩序を見出すこと、これが分析である。徹底した実態調査と分析とが一つになってはじめて現状を分析できるのである。
この現状分析の大切さを教えてくれたのが島崎稔先生である。島崎先生は「階級~断層分析」の手法を開発され、これを都市分析の道具にして多くの研究成果をあげてこられた。
私は「集落の状態分析」を考え出し、これを農村、山村の分析道具にしているが、こうした私の分析は島崎先生から学び取ったものである。
また、実証研究の大切さを教えてくれたのも島崎先生だった。金がなくて調査に行けなかったとき、ポケットマネーで調査費を出してくれ、実証研究で調査がいかに大事であるかを話してくれた島崎先生の温かな心配りをいつまでも忘れることはできない。その島崎先生が亡くなられたのは64歳のときだった。私もいま、その年を迎えている。
ところで、本書の刊行を直接勧めて下さり、農文協を紹介して下さったのは、当時日本農業法学会の会長職にあった小倉武一先生である。小倉先生は学会や研究会でお会いするたびに、山村の環境問題を取りあげている私の研究に対し、その重要性をコメントして下さった。
あれからもう10年が過ぎ、この間小倉先生も他界され、研究の成果をお見せできなくなってしまった。自分の怠惰を恥じ入るばかりである。
また、「農文協の金成政博氏にはこの10年本当にお世話をおかけした。毎年「今年こそは本にしましょう」という年賀状をもらい続け、辛抱強く励ましをいただいた。心から御礼申し上げます。(大野晃)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
[講演会] (「京都議定書と森林問題」2004.12.4:東津野村)
[ブログ・フォーカス]
■
大野晃教授の講演会
この講演会は、大野晃教授が村長さんに就任した、バーチャル[こうち自然村]の発足を記念して、NPO法人土佐の森・救援隊が、当時、四万十川の源流点にあった元県立森林ボランティア研修施設「四万十源流センター」で開催したものです。
【写真】四万十源流センター
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
[講演内容]
■四万十川流域の山村はいま・・
◆限界集落と沈黙の林によせて~
第1次産業は経済的な要素はもちろんですが、社会、教育、文化的な要素、そして言うまでもなく、自然環境保全的な要素、この3つの要素が離れ難く一体化しています。それで農業、林業、漁業という第1次産業が成り立っています。
それをこれまで国の政策として、経済効率だけの観点から見るから、社会・教育・文化的な側面や自然環境保全的な側面が全部切られてしまうわけです。そこに大きな問題があります・・・[more]
*続きは、「メルマガ:四万十通信 261号(19.3.31)」に掲載します。【
登録】