【写真】
限界集落/椿山(高知県池川町・現仁淀川町)
<井上 強・写真集「自賛他賛」より>
■山村環境社会学序説・その9
◆あとがき
徹底した実態調査を通してはじめて対象の内にある本質を引き出すことができる。これが、私の調査に向かう時の心構えである。
はしがきの末尾に「本書は私の現代山村研究の15年史である」と記したが、チェーンソーを使って木材を伐採する林業労働者の現場に出かけ、振動病患者の労働実態を調査していた期間をあわせると、私の山通いはかれこれ30年近くになる。
序章、第2章、第9章に高知県池川町が出てくるが、池川町に最後に調査に入ったのは1976年の春である。椿山集落の段畑のふちに黄色い花をつけ楚々として咲いていた三椏が大変印象的であった。
この時から現在まで私の調査はまったく変わっていない。ノートとエンピツとザックと地下足袋が私の調査道具である。この間何足地下足袋を履き潰したことであろう。
運転免許証を持たない私は、どこへ行ってもよく山歩きをし、山村集落へ通いつめ、納得がいくまで何度も何年も通い、徹底した聴き取りを重ねた。そして、いつも社会調査におけるリアリズムとは何かを、考え続けてきた。(大野晃)
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■近自然林施業
「山村環境社会学序説」の第7章で取り上げられた、高知県須崎林業事務所の「近自然林施業」の取り組みについては、溝渕幸三(山川海幸雨)氏の「四万十川だより」にも、取り上げられている。
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[四万十川だより](溝渕幸三/山川海幸雨著)
■モデル林(針葉樹、広葉樹の混交林)
【写真】針広混交林
高知県の須崎林業事務所管内で、自然環境を守る新しい林業施業が試験的に行われた。今まで行われてきた、山のうねや崖の縁まで杉や桧などの針葉樹ばかりを植林する林業の施業方法を、針葉樹、広葉樹が混在する林を造るような新しい施業方法に変えていこうというものらしい。
どこの山を見ても、急峻な、崖と言ってもいいくらいの場所にまで、杉などが植えられてきた。多くの収入を見込んでのことであったのだろうが、その多くはあまりに役に立たない木となっているのが現状である・・・[
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*続きは、「メルマガ:
四万十通信 256号(19.2.24)」に掲載。【
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[書籍]
■山村環境社会学序説―現代山村の限界集落化と流域共同管理
・農山漁村文化協会 (2005-03-31出版)
・大野 晃【著】
[A5 判] NDC分類:361.76 販売価:\4,799(税込) (本体価:\4,571)
*詳細は、「メルマガ:
四万十通信 259号(19.3.17)」に掲載。【
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